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配信スタイルから逆算するPC選び:シングル vs. デュアルPC

「新しい配信PC、どれを選べばいいんでしょうか?」

StreamHubの世界へようこそ。この質問、私たちはこれまで何千回も耳にしてきました。特にこれから本格的に配信を始めたい方、あるいは今のPCでは物足りなくなってきた方にとって、PC選びは頭を悩ませる大きな課題です。

市場には無数のPCパーツとBTO(Build To Order)メーカーが存在し、どれを選べば自分の配信スタイルに最適なのか、予算内で最高のパフォーマンスを得られるのか、判断に迷うのも無理はありません。グラフィックカードの型番、CPUのコア数、メモリ容量…専門用語の羅列に圧倒されて、結局「高ければ良い」という安易な結論に飛びつきそうになることもあるでしょう。

しかし、それは賢明な選択とは言えません。このガイドでは、単に「おすすめのパーツ」を羅列するのではなく、あなたの「配信スタイル」と「予算」に合わせて、どのような考え方でPCを選べば良いのか、その判断基準を明確にしていきます。無駄なく、賢く、あなたのストリーミング活動を支える一台を見つけましょう。

配信スタイルから逆算するPC選び:シングル vs. デュアルPC

まず最初に決めるべきは、あなたがどのような環境で配信したいか、ということです。これがPCの構成を大きく左右します。

シングルPC構成:一台でゲームも配信も

多くのストリーマーが採用する一般的なスタイルです。一台のPCでゲームをプレイし、同時にその映像をエンコードして配信します。この場合、PCにはゲームと配信の両方の負荷がかかるため、各パーツに高い性能が求められます。

  • メリット:
    • コストが抑えられる(PCが1台で済むため)
    • 設置スペースが少なくて済む
    • ケーブル配線がシンプル
  • デメリット:
    • ゲームと配信の両方で高性能を要求されるため、個々のパーツの要求スペックが高くなる
    • どちらかの処理が重くなると、もう一方に影響が出やすい(例:重いゲームをすると配信がカクつく)
    • トラブルシューティングが複雑になりがち

こんな人におすすめ: まずは手軽に配信を始めたい、予算を抑えたい、そこまで超高負荷なゲームはプレイしない、といった方。

デュアルPC構成:ゲーム用と配信用で分ける

プロのストリーマーや、非常に高い画質・フレームレートでゲームをプレイし、かつ安定した高品質な配信を行いたいと考えている方に選ばれる構成です。ゲームPCと配信PCを分け、キャプチャーボードを介して映像を転送します。

  • メリット:
    • ゲームプレイのパフォーマンスが最大化される(ゲームPCはゲームに専念できるため)
    • 配信の安定性が非常に高い(配信PCはエンコードに専念できるため)
    • トラブルシューティングが比較的容易(問題の切り分けがしやすい)
  • デメリット:
    • PCが2台必要になるため、初期投資が大幅に増える
    • 設置スペースが広く必要
    • ケーブル配線が複雑になり、機材が増える

こんな人におすすめ: 予算に余裕があり、最高品質のゲーム体験と配信品質を両立させたい、競技性の高いゲームを配信する方。

あなたがどちらのスタイルを目指すかによって、各パーツにかけるべき予算の比重が変わります。この記事では、特にニーズの多い「シングルPC構成」に焦点を当てて解説を進めます。

主要コンポーネントの優先順位と選び方

シングルPCでゲームと配信を両立する場合、どのパーツにどれくらいの性能を求めるべきか、その優先順位を理解することが重要です。

CPU (中央演算処理装置)

PCの「脳」です。ゲームの物理演算、AI処理、そして配信における映像のエンコード(符号化)など、多くの処理を担います。特にOBS Studioなどでソフトウェアエンコード(x264)を行う場合、CPUの性能が直接配信品質に影響します。

  • 選び方のポイント:
    • コア数とスレッド数: ゲームと配信の両方をこなすには、最低でも6コア12スレッド、できれば8コア16スレッド以上が望ましいです。Intel Core i7/i9シリーズ、AMD Ryzen 7/9シリーズが候補になります。
    • エンコーダー: 最近のCPUには、Intel Quick Sync VideoやAMD VCE/VCNといった内蔵GPUによるハードウェアエンコーダーが搭載されていることがあります。これらはCPU負荷を抑えつつ一定の品質でエンコードできますが、画質は専用GPUのハードウェアエンコーダー(NVIDIA NVENCなど)に劣る場合があります。予算が限られている場合は検討の余地あり。

GPU (グラフィックボード / ビデオカード)

ゲームのグラフィック描画を担う最も重要なパーツの一つです。また、NVIDIAのRTXシリーズに搭載されているNVENCや、AMD RadeonシリーズのVCE/VCNといったハードウェアエンコーダーは、ゲームのパフォーマンスをほとんど落とさずに高品質な配信を可能にします。特にシングルPC構成では、このハードウェアエンコーダーの有無と性能が非常に重要です。

  • 選び方のポイント:
    • エンコーダー性能: 現状、NVIDIAのNVENCは非常に高い評価を得ています。RTX 30シリーズ以降のモデルであれば、ゲームパフォーマンスを損なわずに高品質な配信が可能です。AMDのVCNも進化していますが、一般的にはNVENCの方が安定性と画質に定評があります。
    • ゲームの要求スペック: プレイしたいゲームの推奨グラフィックボードを参考に、それよりも一段階上の性能を選ぶと配信との両立がしやすくなります。
    • VRAM (ビデオメモリ): グラフィックボードのメモリです。高解像度や高設定でゲームをプレイする場合、より多くのVRAMが必要になります。最低8GB、できれば12GB以上あると安心です。

RAM (メモリ)

PCが一時的にデータを記憶する場所です。ゲーム、OS、配信ソフトウェアなど、同時に動くプログラムが多いほど多くのメモリが必要です。

  • 選び方のポイント:
    • 容量: 16GBは最低ライン、32GBあると安心です。特に重いゲームをしながら複数のブラウザタブを開いたり、Discordなどのツールを起動したりする場合、32GBを推奨します。
    • 速度: DDR4-3200MHzまたはDDR5-5600MHz以上が一般的です。CPUの性能を最大限に引き出すためにも、適切な速度のメモリを選びましょう。

ストレージ (SSD / HDD)

OS、ゲーム、ソフトウェア、そして録画した配信データを保存する場所です。

  • 選び方のポイント:
    • 種類: OSやゲームは必ず高速なNVMe SSDにインストールしましょう。起動速度やロード時間が劇的に改善します。配信の録画データを保存するなら、大容量のHDDも併用する、または別途データ用SSDを確保するのも良いでしょう。
    • 容量: NVMe SSDは最低でも1TB、できれば2TBあると安心です。ゲームは容量が大きいものが多いため、すぐに埋まってしまいます。

これらの主要コンポーネント以外にも、マザーボード、電源ユニット、PCケース、冷却装置(CPUクーラー)なども重要ですが、上記4つのパーツが配信PCの性能を決定づける核となります。

シングルPC構成におけるパーツの優先順位(ゲーム+配信)
優先度 パーツ 主な役割 選択の目安
★★★★★ GPU ゲーム描画、ハードウェアエンコード(NVENCなど) 最新世代のミドル〜ハイエンド。NVENC搭載モデルが有利。
★★★★☆ CPU ゲーム処理、ソフトウェアエンコード、全体処理 6コア12スレッド以上、できれば8コア16スレッド以上。
★★★☆☆ RAM 一時データ保存 最低16GB、推奨32GB。速度も考慮。
★★★☆☆ ストレージ OS/ゲーム/データ保存 OS/ゲームはNVMe SSD (1TB以上推奨)。データ用に大容量HDDも検討。
★★☆☆☆ 電源ユニット 安定した電力供給 GPU/CPUの要求電力に見合った余裕のあるワット数。80 PLUS Bronze以上。
★★☆☆☆ マザーボード 各パーツの接続 CPUソケット、メモリDDR世代、拡張性(M.2スロット数)を考慮。
★☆☆☆☆ CPUクーラー CPUの冷却 CPUの発熱量に応じたもの。空冷or水冷。
★☆☆☆☆ PCケース パーツ収納、エアフロー 冷却性能、拡張性、デザイン、サイズ。

ケーススタディ:3つの予算別ビルドプラン

それでは、具体的な予算レンジ別に、どのようなPC構成を目指すべきかを見ていきましょう。ここで提示する構成はあくまで一例であり、時期やセールによって価格は変動します。

1. エントリーレベル:予算 約15万円〜20万円

「まずは手軽に配信を始めたい」「そこまでグラフィックに凝らないゲームがメイン」という方向け。

  • CPU: Intel Core i5 (最新世代) または AMD Ryzen 5 (最新世代)
    • 6コア12スレッド程度のモデル。軽めのゲームと配信なら十分対応可能。
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 3050 / RTX 4060 または AMD Radeon RX 6600 XT / RX 7600
    • NVENCエンコーダーを活かし、設定次第で多くのゲーム配信に対応できます。画質設定を調整すれば、ある程度の人気ゲームも配信可能です。
  • RAM: DDR4-3200MHz 16GB (8GB x 2)
    • 最低限のライン。配信中にメモリ使用率が高くなる可能性があるので、不要なアプリは閉じる工夫が必要です。
  • ストレージ: NVMe SSD 1TB
    • OSとメインでプレイするゲームを数本入れるには十分。
  • 留意点:
    • ゲームのグラフィック設定やOBSのエンコード設定を最適化することが重要です。特にFPSゲームなど、高いフレームレートを求める場合は、画質をある程度犠牲にする必要があります。
    • CPUに内蔵されたエンコーダー (Intel Quick Sync Videoなど) を活用する選択肢もありますが、専用GPUのエンコーダーより画質は劣ることが多いです。

2. ミドルレンジ:予算 約20万円〜30万円

「人気タイトルを高画質でプレイしつつ、安定した配信もしたい」「幅広いゲームに対応したい」という、多くのストリーマーにとってバランスの良い選択肢です。

  • CPU: Intel Core i7 (最新世代) または AMD Ryzen 7 (最新世代)
    • 8コア16スレッド程度のモデル。ゲームと配信の両方で高いパフォーマンスを発揮します。
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 4070 / RTX 4070 SUPER または AMD Radeon RX 7800 XT
    • 多くの人気ゲームを高画質で安定してプレイでき、NVENCエンコーダーによる高品質な配信が可能です。フルHD(1080p)の高画質配信なら十分すぎる性能。
  • RAM: DDR4-3600MHz または DDR5-6000MHz 32GB (16GB x 2)
    • 余裕のある容量で、配信中でも複数のアプリケーションを快適に利用できます。
  • ストレージ: NVMe SSD 1TB (システム用) + NVMe SSD 1TB または HDD 2TB (ゲーム・録画用)
    • 高速なSSDを複数用意するか、大容量HDDで録画データを管理することで、ストレージ不足の心配が減ります。
  • 留意点:
    • 予算配分をCPUとGPUに均等に近づけることで、ボトルネック(特定のパーツが全体の性能を抑制すること)を避けることができます。
    • 冷却性能も考慮し、ミドルレンジ以上のCPUクーラーを選ぶと安心です。

3. ハイエンド:予算 約30万円〜

「最新のAAAタイトルを最高設定でプレイし、4K/WQHDでの高画質配信も視野に入れたい」「将来的なアップグレードの余地も確保したい」という、妥協を許さない方向け。

  • CPU: Intel Core i9 (最新世代) または AMD Ryzen 9 (最新世代)
    • 最新世代の最上位クラス。多くのコアとスレッドで、ゲームと配信、さらに動画編集などのクリエイティブ作業も快適にこなします。
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 4080 / RTX 4090 または AMD Radeon RX 7900 XTX
    • 現行世代の最上位クラス。4K解像度でのゲームプレイや、高フレームレートでの高画質配信を両立できます。NVENCエンコーダーも最高品質。
  • RAM: DDR5-6000MHz以上 32GB または 64GB
    • 最高速のメモリで、あらゆる処理を高速化。特に64GBあれば、どのような用途でもメモリ不足に陥ることはまずありません。
  • ストレージ: NVMe SSD 2TB (システム・ゲーム用) + NVMe SSD 2TB (録画・データ用) または HDD 大容量
    • 高速・大容量のNVMe SSDを複数搭載し、快適な環境を構築。4K録画を行う場合、ストレージはいくらあっても足りないくらいです。
  • 留意点:
    • これほどの高性能パーツを搭載する場合、適切な電源ユニット(高出力・高効率)と、優れた冷却性能を持つCPUクーラー(高性能な簡易水冷など)は必須です。
    • PCケースのエアフローも重要になります。将来的な拡張性も考慮して選ぶと良いでしょう。
    • オーバースペックに感じるかもしれませんが、PCは数年使うものです。将来登場するゲームや配信技術の進化に対応できる余力を持つことは、長期的に見て賢い投資となります。

コミュニティの声:よくある悩みと落とし穴

StreamHubのフォーラムやSNSで、ストリーマーの皆さんがPC選びでよく抱える悩みや、後から「こうすればよかった!」と後悔するポイントをいくつかご紹介します。直接的な引用ではなく、傾向として現れる声をまとめたものです。

  • 「CPUとGPU、どちらを優先すべきか迷う」
    • これは最もよくある質問です。シングルPCでのゲーム配信なら、多くの場合「GPU」の優先度が高い、という結論になります。特にNVIDIAのNVENCなど、ハードウェアエンコーダーの性能が配信品質とゲームパフォーマンスの両方を左右するためです。もちろん、CPUも重要ですが、GPUのエンコーダーを使う限り、CPUはゲームとOSの処理に集中できるため、ミドルレンジ以上のGPUがより大きな恩恵をもたらすことが多いです。
  • 「予算オーバーを避けるにはどうすれば?」
    • 「もう少しだけ良いパーツを…」とやっているうちに、当初の予算を大きく超えてしまうケースが散見されます。まず「絶対に譲れない性能」と「妥協できる部分」をリストアップしましょう。例えば、「最新のAAAタイトルを最高画質で配信したい」が絶対ならGPUに最大予算を割き、「録画は後から編集するから、まずは配信が安定すればいい」ならCPUの内蔵エンコーダーも視野に入れる、といった具合です。
    • BTOメーカーのセール時期を狙う、型落ちだが性能は十分なモデルを検討する、といった工夫も有効です。
  • 「メモリは16GBで足りると思ったけど…」
    • 特に重いゲームをプレイしながら、OBS、Discord、ブラウザ、チャットツールなどを同時に起動すると、16GBでは心もとなくなることがあります。配信中に頻繁にカクつく、動作が重いと感じたら、メモリ不足が原因である可能性も。余裕を持って32GBを選んでおけば、後々の後悔は少ないでしょう。
  • 「電源ユニットはケチらない方が良い」
    • CPUやGPUの性能ばかりに目が行きがちですが、電源ユニットはPC全体の安定性を支える縁の下の力持ちです。特に高性能なPCほど、安定した電力供給が不可欠。安価な低品質な電源を選ぶと、PCの動作が不安定になったり、最悪の場合他のパーツを巻き込んで故障したりするリスクがあります。余裕を持ったワット数で、80 PLUS認証の高いもの(Bronze以上、できればGold以上)を選びましょう。

購入後のメンテナンスと将来のアップグレード

PCは一度買ったら終わり、ではありません。常に最高のパフォーマンスを維持し、変化するニーズに対応するためには、定期的なメンテナンスと将来のアップグレード計画が重要です。

定期的なメンテナンス

  • ドライバーの更新: グラフィックボードのドライバーは、ゲームのパフォーマンス向上やバグ修正、新しいエンコーダー機能の追加など、頻繁に更新されます。定期的に最新版に更新しましょう。
  • PC内部の清掃: PCケース内部にはホコリが溜まりやすく、これが冷却性能の低下を招きます。数ヶ月に一度はエアダスターなどでホコリを吹き飛ばし、ファンやヒートシンクをきれいに保ちましょう。
  • ストレージの管理: SSDの空き容量が少なくなると、パフォーマンスが低下することがあります。不要なファイルは削除したり、外付けHDDやクラウドストレージに移動したりして、常に一定の空き容量を保ちましょう。
  • OSの更新: WindowsなどのOSも定期的にアップデートされます。セキュリティの強化や新機能の追加、パフォーマンス改善のために、常に最新の状態を保つことが推奨されます。

将来のアップグレード計画

数年後、今のPCが物足りなくなった時、どのパーツから手をつけるべきでしょうか?

  1. GPU (グラフィックボード):
    • 最もパフォーマンスの向上を実感しやすいパーツです。新しいゲームの要求スペックが高くなったり、より高解像度・高フレームレートでの配信を目指したりする場合、まず最初に検討すべきでしょう。
  2. RAM (メモリ):
    • 特に16GBで運用している場合、32GBへの増設は費用対効果が高いアップグレードです。マルチタスク性能が向上し、配信中の安定性が増します。
  3. ストレージ (SSD):
    • ゲームの追加や録画データの増加で容量が足りなくなった場合、新しいNVMe SSDの追加や換装は非常に有効です。
  4. CPU (中央演算処理装置):
    • CPUのアップグレードは、マザーボードの互換性(同じソケットに対応しているか)や、メモリのDDR世代なども考慮する必要があります。場合によってはマザーボードとセットでの交換が必要になり、大規模なアップグレードとなる可能性もあります。

PCを購入する際は、将来的なアップグレードのしやすさ(拡張性)も少しだけ意識しておくと、長く使い続ける上で有利になります。例えば、M.2スロットが複数あるマザーボードを選ぶ、電源ユニットに少し余裕を持たせる、といったことです。

PC選びは、あなたのストリーミング活動の未来を左右する重要な決断です。このガイドが、あなたが理想の一台を見つけるための一助となれば幸いです。あなたの配信が、より豊かで楽しいものになることを願っています。

2026-03-26

About the author

StreamHub Editorial Team — practicing streamers and editors focused on Kick/Twitch growth, OBS setup, and monetization. Contact: Telegram.

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